「福島から語る」Vol.9 朝尾光二さん (2018年4月21日)

これは普通の土で覆っていますと言っているのですが、本当は五段あるわけです下にシートがあります、雨が降っても排水路があります、こういう設計になっていて、ここに可燃物を置いていますと、こういう言い訳なのです。このような構造の中間置き場があって、それを先程の絵のところの、こういうところで減容化して、中間貯蔵施設へ持っていく。
中間貯蔵施設と言っていますが、まぁ、最終処分場になると思います。30年間、中間貯蔵施設に置いておいて、それを国の責任で掘り返して、最終処分場に持っていくと言っていますが、30年後にどこの都道府県が引き取ってくれるのでしょうか。今でさえ反対運動が起きています。フレコンバッグを置くのだって、「早く持って行け、早く持って行け」と言っていました。「8,000ベクレル以下を引き受けます」と言った県がどこか一つだけありましたけれど…。
中間貯蔵施設にあった高濃度のものを掘り返して、うちの県に送っていいですよという県はまず現れないと思うので、実際は最終処分場になるだろうと思います。先程来、言っている、最初30年間貯蔵しておくということですが、地権者の反対があって、なかなか用地処分ができないということです。皆さん、覚えていらっしゃるでしょう。用地が全然買えないと言った時に、石原伸晃が『最後は金目でしょう』と言ったことを。要するに、金を釣り上げているのだと言ったわけです。
地権者は『とんでもない』と言っています。生活している土地を、先程のFさんのお話しじゃありませんが、先祖代々継いできた土地を、こんなことで手放せるかという感情があるわけです。中には、千年前からの家系図を持っている方がいるのです。そういう、ずっと住んでいる方にとって、このような言葉に反発するのは当たり前のことですよね。「金目でしょう」と言ったこの人の親父は『天災だ』といった人ですから。
震災があった時に、「天罰が下ったのだ」と。天災じゃなくて天罰だと言った人ですから。親子で同じような軽率な発言をする方々です。そもそも、「金目」というのは、盗賊が庄屋の家から全部盗んできて、最後に『野郎ども、ほかに金目のものはねぇか』という時のセリフです。そもそも使ってはいけない言葉を使っていると思います。先程見ていただいた、6号線を通れるというのは、この14キロ区間を通って、自動車は通行できるけれど、他は通行できません。
常磐道はこちらです。これは、二輪は通行できますということです。瞬間で、時速何キロで計算するから、被曝量は少ないというようなことで、自動二輪は通れますと言っています。歩行者はもちろん通れません。
このように、いろいろな作業が進んでいく中で、常磐道が開いたり、6号線が開いたりということは、穿った見方をすれば、そういうことの為に通過させているのだと思わざるを得ないわけです。
あまり明るい話ではないのですけれどね。こういうことを福島の方々、ましてや帰還困難区域の、赤のところに住んでいらした方々が未だにそういう状況の中に置かれているにもかかわらず、原発再稼働を求める、埼玉県議会の昨年12月の情報をご存知の方もいらっしゃると思います。ここは意識の高い方が多いから、ご覧になっているかもしれませんが、埼玉県議会は昨年12月の県議会で原発再稼働を求めるという意見書を採択したのです。福島県議会は原発事故後、「このエネルギーについても様々な意見があることは承知しています」とした上で、国はきちんと政策を判断して欲しいと表明しました。非常に埼玉県議会に配慮した言い方です。