「福島から語る」Vol.9 朝尾光二さん (2018年4月21日)

そもそも『もみの木』とはどういうものかというと、ちょっと小じゃれたログハウスで、北欧から取り寄せた外材で、非常に良い建物です。これがいわきのニュータウンといって、東京でいうと多摩ニュータウンのようなものです。ちょっと小高い山を整地して広げた大きなニュータウンの中にあって、ここに『もみの木』が拠点を置きました。というのは、この写真だと分りませんが、正面には二百何十戸という、三百近いいわき市民の仮設住宅があり、その左手、奥には富岡町の仮設があって、この『もみの木』の周辺に第十仮設までずーっと廻るようにあります。これがニュータウンの図なのですけれど、今ポイントが無いので分りませんが、『もみの木』はこの辺にあるのですよね。こうやって囲ってあるところには、仮設住宅がたくさんあるのです。いかに仮設がたくさんあるかということを見て頂きたかったわけです。『もみの木』の中を見ていただくと、ログハウスの中はこんな感じで、喫茶店のような仕様をしています。近くの方が無料でお茶を楽しんで頂けるようなスペースを提供していたのです。
ピアノがあったり、テレビがあったり、一時はカラオケもやっていたようです。仮設の方々って、四畳半二間に住まわれているので、親戚の方とかお友達が来ても、お通しする客間が無いのです。ですから、その客間の代わりというのですか、応接間の代わりに使って頂くようなしつらえをした部分がここです。二階に上がるところから見るとこんな感じです。奥の方にカウンターがあって、喫茶店のような造りになっています。
ここでは手芸や、その他のことをして頂くという展開がありました。二階のロフトで子ども達の学習支援、クリスマス会、手芸教室をやったり、いろいろな楽しい時間を提供するようなことをしていたわけです。また、借り上げ仮設というのがあって、これはよく言われる、仮設には入らないのだけれど、アパートをお借りになってお住まいになる方、子どもさんが小さかったりすると、隣の音が全部聞こえてしまうので、夜泣くとか何かがあったら、若いご夫婦とか、小さいお子さんがいらっしゃる方は住めないのです。
ですから、そういう方々はアパートをお借りになるのですけれども、そうなると逆に、自分達の仮設じゃないから、集会所とか、みんなの集まる場所がないのです。これは大熊町の方が集まっているところです。これは紙芝居をやっているところですが、大熊町の昔話をやっている紙芝居を上演している場面です。そういうことが月に二度でしたか、月曜の午後とかに集まって頂くようなところを提供していました。コーヒーを煎れる。これは東京から来てくださった、コーヒーの喫茶店をやっていらっしゃる方のご指導で、コーヒーの煎れ方を習っていました。これはインド人のカプチン・フランシスコ会の神父さんで、インドカレーを教えてくださいました。
いろいろなことをやっていました。あとは、音楽を演奏してくださる音楽家が来てくださって、その楽しみを提供したり、遥か滋賀の方からは、お琴の演奏家がボランティアとして各仮設を廻ってくださったり、私共と一緒に集会所を廻っていたということです。いろんな集会所があるので、相手様は千差万別ですけれども、『もみの木』の旗を掲げて、この旗がある時には喫茶店といいましょうか、カフェがオープンしていますということです。
幟を掲げて、『もみの木』開店中ということで、活動を続けて来ました。男性だと、囲碁とか将棋をさすとかで、遊びに来てくださいました。これはイタリア人の青年達です。自費で日本の被災地を訪ねるという、ミラノ・ミッション会がやっている企画ですけれども、すごく厳しい試験があって、それをクリアして、しかも自費で来るという、素晴らしいと思いました。この方はミラノ・ミッション会の神父さんです。