ご挨拶

カトリック東京ボランティアセンター責任者(当時)
幸田和生(カトリック司教)

東日本大震災発生直後、東京のカトリック関係者で現地に入った人々の中に、釜石ベースにボランティアに行った真生会館学生センターの学生たちや仙台教区サポートセンター の立ち上げに協力したJLMM(当時の「日本カトリック信徒宣教者会」) の事務局スタッフがいました。彼らは東京に戻ってから、首都圏からのボランティアが被災地に行きやすくなるような仕組みを作りたい、と東京教区に申し出ました。その提案をもとに4月24日、復活祭の日に、カトリック東京ボランティアセンター(CTVC)は動き出しました。フランシスコ会が六本木の修道院の一室を事務所として無償で提供してくださったことは、大きな助けとなりました。この寛大な協力は結果的に10年間に及びました。
日本のカトリック教会全体の被災地支援体制(いわゆるオールジャパン)の中で、2011年6月から、わたしたちCTVCの活動地域は主に宮城県南部と福島県ということになりました。CTVC主催のボラパック(パック型のボランティアツアー)を宮城県亘理町・山元町や福島県各地で行い、首都圏から多くの方が参加してくださいました。中でも福島市郊外の宮代(みやしろ)仮設住宅へのボラパックは多くの回数を重ね、そこでの浪江町から避難してきた方々との出会い、そして、福島市の教会の方々との協力は、今も形を変えて続いています。また、福島第一原発から北へ30km圏内の南相馬市原町区に、震災の翌年2012年6月にCTVCカリタス原町ベースが開設され、多くのボランティアに利用していただくようになりました。そこは今、「一般社団法人カリタス南相馬」となり、震災から10年を超えてこれからもその地の方々とともに歩んで行こうとしています。また福島や宮城の被災地の方々の声を首都圏の人に直接届ける講演会シリーズ「福島から語る」「被災地から語る」 など、さまざまな企画にも多くの方が参加・協力してくださいました。
CTVCに関わったわたしたちは、被災者の皆さんとの出会い、ボランティア同士の出会いを宝として、これからもそれぞれの場で歩んでいきたいと思います。一人一人は小さな力でも、人と人とが力を出し合うことによって、そこから人は大きな力をいただくということを知ったからです。それは支援される側も、支援する側も変わりありません。
CTVCが10年間の活動を終えるにあたり、これまでご協力、ご支援くださった皆様に、そして出会わせていただいたすべての皆様に心からの感謝を申し上げます。