「福島から語る」Vol.10 佐藤彰さん (2016年11月19日)

大震災のメッセージ
みなさん、震災は様々なメッセージを発しました。苦しいことも多かったのですが、麗しい出来事もありました。一瞬ではあっても、様々な壁の崩壊を見ました。太平洋に面した浜通りは、小さい教会が多く、数も少ないのですが、そこを津波が襲いました。ですが全国、海外からのキリスト教の支援は大きかったのです。会員数は平均15名と聞きましたから、送られて来た支援物資を運ぶのは困難でした。ところが震災は教会と地域を結びました。今まで一度も教会を訪れたことのない人も教会にやってきては、スクラムを組んで協力しました。歴史上かつてなかったその地域での光景だったと思います。更に言えば、バブテストもルーテルも何派もなく、手を携えたのでした。
阪神淡路大震災と違うのは、ネットの中での震災でした。私はこんなに今辛いとパソコン上で打ち込むと、すぐに「先生の震災体験談を英語に翻訳しましたけど、使いますか」とか、「ドイツ語どうですか、韓国語は?」等々。どうしてかはわからないけれどとにかくありがたいと思い、ウェブ上で貼り付けると、アクセスが半端でなく、当時は毎日20万件の応答でした。誰が一体見ているのか。不思議でもあり、ありがたくもありました。
そんな中、震災のほぼ1カ月後、東京のキャンプ場に、アメリカの教会の方が多額の義援金を持って来日されました。これはどうしたことだろうと義援金を手渡されてきょとんとしていると、日本で起こった津波の映像を見て、泣きました。そして日本の教会がどうなっているのかを知りたいと思いましたが、ニュースからは流れませんでした。当初はもしかしたら日本には教会がないのではないかと思ったりしたそうですが、ネット上でこの教会の情報を見つけました。英語で見れました。なんと赤ちゃんからお年寄りまで、みんなで、車15、16台を連ねて逃げ歩いているらしい。ならば、この教会を支援しようと、義援金を集めを始め、今回は代表してアメリカから、どんな人たちか顔を見がてら訪ねてきましたとのこと。神様、私たちは何者ですか。このストーリーは、どなたの筋書き、キャスティングですか、と天を仰ぐ心地でした。