「福島から語る」Vol.8 大内信一さん(2017年9月23日)

これから冬に出るのは、夏から虫取りを一生懸命やった、成果だと思いますし、特に、春の5月末や6月初めに出す、ちゃんとしたキャベツを見ると、これも本当に無農薬の成果だと思います。そんな経験がありますが、我々はプロとして、農薬を使わなくてもいいものを作りたい、そんな思いでいます。うそは絶対つきたくない。「昼間は目立つから夜、農薬をかけるんだろう」と言った人がいますが(笑)、夜はちゃんと休みます。
そんなことで、作物と楽しく一緒に暮らしていますが、今日も、一番遅い春に収穫するキャベツを植えて来ました。今朝はちょっとした雨降りだったので、植えるのに丁度、良かったです。雨が降らないと、植えた後に水をやったりしなきゃならないんですが、今日は水をやらなくてもいいので、出かける前に一仕事してきたのですが、うちの家内が心配して、「列車の時間に間に合わないよ」と言って、私を迎えに来ました。まあ、そんなことで楽しくやっています。おかげさまで、私のところは今は放射能の心配もなく、野菜も米もほとんど間違いなく出荷できています。これから帰って農業をやろうとする帰還困難区域、原発近くの町の人たちは、本当に大変だろうと考えます。まず、人がいないわけだから。イノシシが我が物顔だし、ハクビシンなんかは古い家に住み着いて、どうしようもない。もう、住める状態ではない。農家は住宅も大きいし、作業所も大きい。それらが全く荒れ放題。一体どうするのか。全く大変ですが、そういう人たちにも心を配りながら、何とか安全、安心な米とか野菜を少しでも多く生産するために、また頑張っていきたい。うちも後継者がおりますので、何とか皆んなで力を合わせて頑張っていかなければと思います。
福島のためにこうしていろいろな形で支援をしていただき、本当にありがとうございます。我々も、この恩をどこかで返していきたい、そのように思って、さっきの路上生活者もそうですが、外国で医療機関のないところで医療をやっている人たちとかを、少しずつですが、いろいろな面で支援しております。
福島の若い人たちがこの放射能に負けないで欲しいです。京都の先生が最初に被災地に行った時に、まず「放射能に怯えず、うろたえず、正しく怯えろ」と言っておられました。放射能はもちろん感じることはできませんが、ただ単にうろたえるのではなく、しっかりと伝えるようにしたい、そのように思っております。
いろいろと質問があれば、また後の機会にしたいと思います。本当に今日はお忙しい中、ありがとうございました。これで拙い話を終わります。